|
いろいろな企業のトップや人事責任者と話をしていると、採用が難しくなってきているのは実感しているものの、どう対処したらいいか分からないというのが本音のようです。ほとんどの企業が、自分たちの採用手法には手を加えることなく、かけるコストを多くすることだけでそれに対処しようとしていることからも、このことがうかがえます。
現実には、紙媒体やWeb媒体に出す求人広告の反応は下がる一方ですし、人材紹介会社に紹介を依頼しても応募者が思うように集まらなくなってきています。採用に対する姿勢や採用手法を変えていかないと、思うような結果を出せない状況になりつつあります。
大きく見ると、ひとつには「待ちの採用」か「攻めの採用」か、という問題があります。従来は、紙媒体やWeb媒体を通してマスに求人広告を出して応募してくるのを待つ、という「待ちの採用」が一般的でした。しかし現在は、これでは採用実績は悪くなる一方です。「どこにいるどういう層の人が必要だから、それに向けてどうアプローチしていくか」という「攻めの採用」が必要になってきています。採用戦略が「待ち」から「攻め」に変わると、採用に対する心構えから、選考プロセスの作り方まで大きく変化してきます。
もうひとつ、「新卒採用」と「中途採用」の違いという問題もあります。いまだに大手企業でさえ、両者の違いをしっかり認識しないまま、採用を進めていることが多く見られます。確かに「人を採用する」ということに関しては、中途採用も新卒採用も同じですが、それに向けて企業がするべきことは大きく違います。
例えば、日本で新卒採用の対象となる学生は、おおむね3月に卒業することが決まっていて、企業もそれを前提に採用活動を行います。つまり、就職意欲もほぼ顕在的であり、就職活動・採用活動の時期もだいたい決まっています。そのため採用戦略としては、突き詰めれば、狙った層を中心にどのくらいの大きさの母集団を形成し、どのくらいの率で絞っていくか、あるいは説得していくかということが基本になります。
一方、中途採用の対象となるのは、顕在的な転職希望者とは限りません。どこの企業でも優秀で高い実績を挙げている人ほど、転職を希望する確率は低いですから、優秀な人を採ろうと思えば思うほど、顕在的な転職希望者だけでなく、潜在的な転職希望者や非転職希望者にもアプローチする必要がでてきます。
中途採用と新卒採用の違いは、スピード・タイミングの問題でもあります。中途採用では、内定通知書(条件提示書)に有効期限を設けることが多く、応募者がどこかの会社の内定を持ったまま、長期間にわたって他の会社をいくつも受けることはほとんどありません。そのため、その応募者が受験している他の企業よりも速いペースで選考を進めることが中途採用を非常に有利にしてくれます。
中途採用ではピンポイントの採用が多いために、採用枠が新しくできたり消えたりすることが頻繁な上、例えば、来月から新規事業を立ち上げるとか、今期中に採用しないと採用枠がなくなってしまう、というタイミングの問題も重要です。
中途採用で高い成果をあげようと思えば、この潜在的な転職希望者や非転職希望者に対するアプローチと、スピード・タイミングの問題をいかにうまく解決していくかが大変重要なポイントです。
こういった違いがあるにもかかわらず、まだ中途採用を新卒採用の延長線上にあるもののように考えて採用を進めている企業が多く見られます。どちらかと言えばむしろ、新卒採用戦略を中途採用にも活かすのではなく、中途採用戦略を新卒採用戦略に活かす方が有効な面が多いでしょう。
|