| 情報セキュリティ対策の中での人材育成をもう少し深く見てみると、技術的な知識や対応方法を身に付けるだけでは事足りない状況がある。情報漏えい事件が発生した企業の、それまでの情報セキュリティ対策を見ていくと、ある程度のシステム的対策も教育も施されているにもかかわらず事件が発生したものが目に付く。これはいったいどういうことかというと、情報セキュリティ対策における人材育成に必要なのは、知識の習得だけではないということである。
例えば、組織において情報漏えい防止のルールを策定したとしよう。ルールを守るというのは、ルールを教えるという“知識の付与”と、それを守るという“意識醸成やモラルの問題”の両方により、情報漏えいのリスクを低減することができる。
“知識の付与”という意味で言うとスキルセットの強化であり、一般的にイメージする研修コースでカバーできるが、“意識醸成やモラルの問題”についてはマインドセットを高める必要がある。
情報セキュリティ対策の人的対応においては、組織へのロイヤルティ(忠誠心)を高め、モラルを向上させることが必要だとよく言われるが、具体的には組織成立要件といわれる「意思疎通・貢献意欲・共通目的」を高めることが重要だ。いわゆるマインドセットといわれる部分への働きかけが大きく影響する。
次回は、スキルセットに焦点を絞り、効率的な教育プログラム構築についてお話ししたい。
<プロフィール>
官庁において情報システム部門などを経験した後、独立系IT教育専門会社で地方事業所の新規開設責任者として従事。その後、現職で企業向け教育の企画・プロモーションを行う。現在は特に、情報セキュリティ教育に関する活動を精力的に行い、JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)情報セキュリティ推奨教育検討ワーキンググループリーダー、SEA/J(セキュリティ・エデュケーション・アライアンス・ジャパン)研究員としても活動している。
ITコーディネータ、情報処理技術者(上級システムアドミニストレータ、情報セキュリティアドミニストレータなど)をはじめ、MCSCなどベンダー系資格保有。
※nikkeibp.jp events SPECIALより転載
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