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企業の選考を突破する方法  前編:書類審査を突破する

私は日頃、企業に対して中途採用の戦略立案などに関するコンサルティングを行っており、その一環として数多くの面接官トレーニングを実施しています。今回はその経験を基に、転職を考えている個人に対して、「企業の選考を突破する方法」と題した実践的なお話をしたいと思います。

ここでは、そもそも転職をするべきかどうかなどの議論はさておき、「具体的にどうやって企業の選考を突破するか」ということに的を絞った上で、「書類審査を突破する」「セミナー・面接を突破する」の2回に分けて話を進めたいと思います。

履歴書と職務経歴書が自分を企業に売り込む唯一の武器

多くの場合、転職を希望する企業への応募は、履歴書や職務経歴書を送付して書類審査を受けることから始まります。人材紹介会社経由での応募なら、これに人材紹介会社から簡単な推薦状のようなものが付くこともありますが、やはり中心は履歴書と職務経歴書です。

書類審査においては、まず、この履歴書と職務経歴書が自分を企業に売り込む唯一の武器であることを強く意識してください。企業が数多くの履歴書、職務経歴書の中から書類審査の合格者を決定していることを考え併せれば、履歴書、職務経歴書が単に自分の学歴や、社歴、経験した職務内容などを書くだけでは不十分であることが想像できるのではないでしょうか。

企業が行う営業活動に例えれば、履歴書や職務経歴書は、製品や商品のパンフレット、提案書、見積書を兼ねたような存在と言えるでしょう。もし私たちが、テレビや電話など、製品の内容が決まっているものを売るのであれば、パンフレットや見積書があればよく、個々のお客様に合わせた個別の提案書などは必要ないかもしれません。

しかし、システム開発やコンサルティングサービスなど複雑で内容が千差万別な製品やサービスを提案する場合には、それぞれのお客様に合わせた提案書を作成することになりますし、それがお客様の置かれた状況を十分に反映したものでなければ、他社を押しのけて受注に至ることはないでしょう。

これは「自分を売り込む営業活動」とも言い換えることができる転職活動でも同じです。もともと中途採用を行う企業が一番知りたいのは、「この求人ポジションでこの応募者を採用したら、ビジネスにどう貢献してくれるのか」ということです。ですから、履歴書と職務経歴書、中でもより重要な職務経歴書は、希望するそれぞれの企業の求人ポジションに合わせて内容を作り変えるのが当然と言えるでしょう。

求人ポジションに合った職務経歴書を作る

求人ポジションに合わせて職務経歴書を書く、というと自分の経験や希望をねじ曲げて書くような印象を持つ人がいるかもしれませんが、何も嘘を書きましょうと言っているのではありません。希望する会社のホームページなどを熟読して、その企業が置かれた立場や募集の背景をできるだけ理解した上で、嘘のない範囲でその求人ポジションに合った職務経歴書を作りましょう、ということです。

例えばあるIT企業で、「C、Javaの経験者募集。PM候補」というような求人があったとします。これに対して、職務経歴書においてCやJavaに関する知識が豊富であることを伝えるだけでは不十分な職務経歴書です。

「PM候補」と書いてあるのですから、もしすでにPMの経験がある応募者なら、「どうやってプロジェクトをマネジメントしてきたか」や、「プロジェクトの目標を守るために、時にはどう顧客や社内の他部門と折衝(またはコントロール)してきたか」ということまで書くべきです。PMの経験がない応募者であっても、「どうやって自分の担当業務をマネジメントしてきたか」や、「どう周りの部門や業者を巻き込みながら仕事を進めてきたか」、あるいは「顧客との折衝は直接行ってきたこと」なども併せて書いた方が、書類審査をしている側としては、「入社後どうやってPMの仕事をこなしてくれるのか」をはるかにイメージしやすくなります。

もし応募する企業がまだ立ち上げ間もないベンチャー企業だとすれば、いろいろな制度がないことはもちろん、生き残りのために社内のさまざまなルールや仕事の進め方は激しく変化しているでしょう。自分がどれくらい変化に強いかや、変化を作り出すことができるかを体験を交えて書いたり、もしホームページやニュースリリースなどから、対象にしている業界や今後伸ばしていきたい分野などが分かり、そこに自分の経験があれば、それを加味した職務経歴書を作成することが大切です。

私は仕事で、転職人気企業TOP10に入ると言われる企業の中途採用を複数お手伝いしていますが、そういった職務経歴書が送られてきた場合、書類審査を通過させる確率は極めて高いものです。人材紹介事業を行っている立場からも、応募先企業に合わせた職務経歴書の方が格段に書類審査を通過しやすいことを日々実感しています。

転職支援サイトに、あるレベルの履歴書、職務経歴書を載せると、1、2日で数十社の企業や人材紹介会社からスカウトメールが来るかもしれません。しかし最終的に入社できるのは1社ですし、言うまでもなく、せっかく転職するなら自分が希望する企業に入社したいものです。そのためにも、せめて志望順位の高い数社に対しては、個別の職務経歴書を用意してほしいと思います。

資格でアピール

ビジネスに貢献できることをアピールする一つの方法として資格も有用です。今まで経験してきた業務と関係ない資格を多く保有していると、「仕事はきちんとしてくれるのか」という心配やマイナス印象を与えてしまいますが、業務に活かせる資格であれば、明らかに有利になるでしょう。資格は決して業務で高い実績を挙げられることを保証するものではありませんが、書類審査を通りやすくする、何らかのチャンスを与えられるという意味では大きな効果があるものです。今は持っていなくても、希望する業務に関する分野での資格なら積極的にチャレンジしてみる価値は十分にあるでしょう。

次回は「セミナー・面接を突破する」と題してお送りしたいと思います。

牛久保 潔(うしくぼ きよし)
株式会社プロッソ 代表取締役社長
http://www.prosso.com/

<プロフィール>
日本DEC(現、日本ヒューレット・パッカード)、日本オラクルを経て、2003年、中途採用に特化したコンサルティングと人材紹介を行うプロッソを設立。以来、大手・中堅企業を中心に、実践的なサービスを提供。中途採用力UPメールマガジンやセミナーを実施中。
※nikkeibp.jp events SPECIALより転載

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