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試験結果にみるJASA組込みソフトウェア技術者試験・活用の実態

前回(4月19日)前々回(3月8日)と組込みシステム業界に関わるコラムを提供しました。今回はJASA組込みソフトウェア技術者試験の結果から業界動向を分析してみます。

受験企業から見る「組込み技術者のいる会社」とは?

前回2回のコラムのおさらいですが、組込み製品とはどんなものか、以下の図を見ると良く分かると思います。時計や洗濯機といった身近なものから、仕事に欠かせないコンピュータ、プラントといった大型施設まで、組み込み製品は実に幅広い分野で使われています。

図:組込みプログラム搭載製品 出典:特許でわかるプログラム制御技術(特許庁)

受験者の企業情報を見ると、組込みの技術者が所属している会社は上記の図にある製品を開発している会社(その会社と取引のある会社など)がほとんどです。試験主催団体の組込みシステム技術協会(JASA)に所属している会社も、組込みシステム系企業が大半です。松下電器産業、NECエレクトロニクス、NTTコムウェア、日立アドバンストデジタルといった大手企業も参加しています。

前回コラムを執筆した梶山氏の会社も組込み開発会社です。

参考までに実際に「モノ(組込み技術や関連製品など)」が見たいという場合には、組込みシステム技術協会(JASA)が実施している組込み総合技術展(春は大阪、秋は横浜)に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

組込み総合技術展 関西:6月6日〜6月7日 マイドームおおさか 試験制度の説明会、ブースでの展示・模擬問題コーナーなどを実施します。

組込み総合技術展 横浜:11月14日〜16日 パシフィコ横浜

受験は主にどのタイプの技術者が多い?

試験後のアンケートを見ますと、受験者の90%は組込みの技術者です。

1位 ソフトウェア技術者
2位 ハードウェア技術者
3位 システム技術者

教育・人事からも全体の5%の人が受けていますが、それには次の理由が考えられます。まず、技術者の開発経験が豊富になったことにより社内での評価が高まり、業務での開発経験や先端技術を社内にフィードバックする教育担当に抜擢されたことがあげられます。また、教育・人事担当が、社員の人材育成に組込みソフトウェア技術者試験が役立つかどうか、検証していることも理由のひとつです。

受験の理由はやはり自己スキルの確認?

試験後のアンケートによると、技術者の受験理由の上位3点は以下のとおりです。

1位 自己スキルの確認のため
2位 会社/上司の要請があったため
3位 昇給/昇格に有利なため

業務・エンタープライズ系の試験制度や認定試験が圧倒的に多い中、組込み技術者対象の試験は今までほとんど存在していませんでした。企業は組込み技術者であっても情報処理技術者試験を採用していたのではないでしょうか。

「自分がどの程度の知識やスキルを有しているか知りたい」という技術者の欲求は当然と言えますし、客観的な評価としてみたときに、自分の置かれているポジションを知りたいはずです。英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価するTOEICが良い例と言えるでしょう。

全国平均で見た時の自分の点数から、「次はどうしたいか」、という目標が生まれます。試験とは単に自己スキルの確認のためのみならず、客観的な見地からあるべき将来像を見せてくれるものなのです。

あなたは組込み開発経験で評価されていますか?

よく組込み技術者の評価指標は開発経験年数と開発に関わってきた実績だと聞きます。確かに技術者ですから実績は大きな要素となるべきです。試験を受験した人は開発経験豊かな人ばかりなのでしょうか?受験者の経験年数上位を見てみましょう。

1位 1年未満
2位 1−3年
3位 6−10年
4位 4−5年

開発経験が1年未満から5年までで63%、10年までで受験者の約80%を占めています。受験者のうち、約17%の人が11年目以上と21年目以上の経験者であったのは、非常に興味深い数字です。過去のコラムで「組込み技術者は息が長い」と書きましたが、まさに長く活躍している人も多いということです。

経験者になれば業務での開発経験やノウハウ、先端技術のフィードバックを後進の育成に役立てようと教育を実施する立場になります。技術を人に正確に伝えるには、まず正確な知識を有していることが重要ですので、日々の仕事から得た経験やノウハウ、知識を正確に伝達すること、これも技術者として重要な役割です。

試験は会社や学校の推奨?また誰が負担しているの?

受験者データを見ると、約80%の人が会社/学校から推薦があり、また、受験料の負担も約80%が会社/学校となっています。個人で負担しての受験は約20%ほどです。

当たり前かも知れませんが、会社の理解の上で、試験結果を通じて成長したいと考えるものです。就職・転職に有利なこともありますので、個人的に受験している人の中には、そのような理由の人もいると考えられます。

動き出した「企業での試験制度の活用」

ある企業では昇格基準としてこの試験を採用しています。当然、その会社の組込み技術者は全員が対象になりますので、会社が事前にまとめて受験チケットを購入、社員に配布し、一定期間内に受験する仕組みです。

別の企業では、200以上の試験制度(国家試験や中立公正な業界団体の試験、ベンダー試験などさまざま)を技術者育成支援に採用しています。2007年2月からは組込みソフトウェア技術者試験が技術者育成支援に採用され、受験者に受験料と奨励一時金を提供しています。

その企業では1000人以上いる組込み技術者に対して、「グレードA」取得者のみ支給という高い目標を提示し、受験者の喚起を促しています。今まで組込み技術者向け試験がなかっただけにすばやい採用でした。

協会としては、技術者を応援する姿勢・仕組みとして、試験を活用した評価制度の整備をお願いしています。

一方で、技術者は日々忙しく、開発と納期に追われ、勉強する時間さえ十分に取れない場合も多いのではないでしょうか。しかしながら、知識不足であればコミュニケーションギャップが発生しますし、問題解決能力にも大きな支障が生まれるでしょう。

組込みソフトウェア技術者試験が提示する「組込み技術者が最低限持っていてほしい技術知識」には、技術者が業務上必要となる知識のみならず、上下間、部署間のコミュニケーションの基本となる知識が含まれています。

個人任せではなく、会社が応援する仕組みを提供すれば、技術者は安心して自己研鑽でき、業務の励みにもなるのではないでしょうか。そのことが重要だと考えています。

トライアル受験をしませんか?

ETEC「JASA組込みソフトウェア技術者試験クラス2」の採用を検討している企業で、試験評価を希望する場合は、トライアル受験をお勧めします。企業での採用方法、試験の使い方、受験結果分析支援、受験料特別割引など、お気軽にETEC運営事務局etec@certpro.jp)までお問合せください。

メールにてお問い合わせの場合、必ずしも安全保護措置が施されてはいない インタ−ネットを経由することになりますので予めご承知ください。

組込みシステム技術協会 ETEC運営事務局
サートプロ代表取締役
http://www.certpro.jp
近森 満(ちかもり みつる)

<プロフィール>
大手電気メーカー、外資系IT教育ベンダーなどを経て、2006年より組込みシステム分野の人材育成・教育支援を行うサートプロを設立し、現在はJASA試験の普及・啓蒙活動を行っている。

※nikkeibp.jp events SPECIALより転載
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