人材紹介会社に聞く <3回目>
ボクの給料は高い?安い?2010年給与調査

2010年03月17日掲載

前回は採用企業と候補者間のギャップについてご紹介しました。今回は「人材紹介会社に聞く 3回目:ボクの給料は高い?安い?2010年給与調査」と題し、職種別の給与をご紹介します。あわせて、正社員、派遣社員といった雇用形態別のトレンドについてもご紹介します。

■景気低迷の影響を受け、金額は伸び悩み

ロバート・ウォルターズでは1999年から毎年給与調査を実施しており、日本市場の調査結果は2004年から発表しています。東京オフィスは世界で二番目に大きいオフィスであるため、対象職種も幅広く、経理・財務から金融サービス、コンサルティングなど多岐にわたっています。調査対象はロバート・ウォルターズが保有しているデータベースの中で、その年に転職した候補者の平均給料を算出しています。
ロバート・ウォルターズでは正社員だけではなく派遣社員としてもスペシャリストを各企業に紹介しているため、給与調査には正社員と派遣社員両方の給与が掲載されています。

気になる調査結果ですが、全ての職種をここでご紹介することはできませんので、一部を表にまとめました。
本調査はバイリンガルの日本人が外資系企業に転職した場合の年棒・時給となっているので、全体的に日系企業よりは給与体系が若干高い水準にあるようです。景気後退の影響もあり、2009年の発表よりも年棒・時給が下がった職種が多くありました。正社員ではプロジェクトマネージャーのように変更のない職種もありましたが、組込み開発者のように上限・下限とも大幅に下がった職種もありました。派遣社員では、上記の表に記載のほとんどの職種で時給の下限が下がっています。

表1:IT - テクノロジー・ベンダー、コンサルティング 分野の給与調査

職種
正社員(年棒/万円)
派遣社員(時給/円)
2009年
2010年
2009年
2010年
プロジェクトマネージャー
900-1,400
900-1,400
4,000-7,500
3,000-7,500
ITコンサルタント
800-1,200
800-1,200
4,000-6,000
3,750-6,000
システムエンジニア
700-900
700-900
2,250-5,000
2,000-5,000
組込み開発者
700-1,000
600-900
2,500-4,000
2,000-4,000
ネットワークエンジニア
600-1,000
600-900
2,000-5,000
2,000-5,000
テクニカルサポートエンジニア
500-800
500-800
1,500-3,500
1,500-3,500

一方、CIOなどシニアレベルの調査結果はどうだったのでしょうか。金融サービスを例にご紹介します。
CIOの年棒上限が4500万円から3500万円と、1000万円も下がっているのが目をひきます。その他の職種を見ても、上限・下限とも軒並み下がっており、下げ幅も200-300万円とかなり大きいのが特徴的です。シニアレベルの人材に対する需要が伸び悩んだことが背景にあるのかもしれません。

表2:IT - テクノロジー・ベンダー、コンサルティング 分野の給与調査

職種
正社員(年棒/万円)
2009年
2010年
CIO
2,000-4,500
2,000-3,500
開発部門長
1,400-2,000
1,300-1,800
プログラムマネージャー
1,400-1,800
1,200-1,600
インフラストラクチャーマネージャー
1,200-1,800
1,000-1,500
インフォメーションセキュリティオフィサー
1,000-1,600
800-1,300

表1,2 出典:「給与調査 2010 日本」 ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社
特に断りがない限り、表示額は諸手当、ボーナスを除く基本給

景気低迷の影響は、正社員、派遣社員の採用にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。
ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社 インフォーメーション テクノロジー アソシエイト ディレクター ジェイムス 菊池氏とITコントラクト コンサルタント 片岡 晃正氏にお話を伺いました。

■派遣の需要が増えた2008、2009年。2009年終わりから正社員の需要増へ

− 2009年 IT市場の概況はどのようなものでしたか。

ロバート・ウォルターズ・ジャパン 株式会社
インフォメーション テクノロジー
アソシエイト ディレクター

ジェイムス 菊池氏

菊池氏:ご存知のように景気が低迷したため、正社員の採用については非常に厳しかったですね。2006年や2007年で取りすぎてしまった人材を2008年や2009年に削減したのです。金融機関では大規模なレイオフも行われました。
そのため、多くの人たちが職を失いました。バイリンガルの候補者の場合、今まではすぐに次の仕事が見つかっていたのですが、昨年はなかなか次のポジションが見つからないといった事態もありました。

市場が回復するのにしたがって、正社員のポジションも徐々に増えてきました。しかし候補者を今まで以上に慎重に審査する傾向がみられました。

片岡氏:正社員の案件が少なくなった分、派遣社員の案件がかなり増えました。景気が低迷しているとき、企業は正社員ではなく派遣を採用する傾向があるので、リーマンショック以降、派遣の案件が増加しました。
候補者についていうと、当初は派遣にあまり興味が無く、正社員にこだわる方が多かったです。けれども3ヶ月たっても正社員のポジションがなかなか見つからない状況となると、生活面での不安が出てきました。雇用保険だけに頼っていられる状態ではなくなってしまったのですね。そのため、候補者の方々は仕事内容を最優先に考えるようになってきました。その結果、契約や派遣社員、業務委託でも問題ない、と考える方が増えてきました。

2009年後半は正社員の雇用が回復してきたことに伴い、派遣社員の候補者が少なくなってきました。今まで派遣や契約社員として勤務していた方が、正社員のポジションが出てきたことで、そちらの募集に興味を示していたのだと思われます。

■正社員に求められる高いスキル、派遣社員にはポテンシャルを求める

−需要が高い人材はどのようなスキルを持った人たちなのでしょうか。

菊池氏:金融であればFIXプロトコルなど金融独自のソリューションを知っていることはもちろんですが、ビジネスの知識やコミュニケーション能力も求められます。数年前まではテクニカルな要素をクリアしていれば日本語能力は問われないこともありましたが、最近ではそうではありません。日本語がビジネスレベルの人で英語が話せる人、さらに経験が5年以上、といったリクエストが来ることがあります。正社員に対する要求は高くなっているのではないでしょうか。ヘッドカウントが限られている中でより優秀な人を採用したい、という企業側の思惑があるのでしょう。

各スキルの優先順位は企業によって異なります。同じ業界の企業でも、ある企業では最も重要なスキルは技術力で次は言語能力、三番目が取扱商品に関する知識といいますが、同じ業界の別の企業は、取扱商品に関する知識が最も重要で次が言語能力、最後に技術力と言われることがあります。

前者の場合、取扱商品に関する知識は入社後のトレーニングや社員とのかかわりで自然に覚えていけるので重要度は高くないが、技術力を半年で習得するのは難しいので、技術力が最優先と考えるのでしょう。 一方後者では、取扱商品に対する知識がないとシステム開発ができないという判断から、取扱商品に関する知識が最優先と考えるのです。

ロバート・ウォルターズ・ジャパン 株式会社
ITコントラクト コンサルタント
片岡 晃正氏

片岡氏:派遣の採用はだいたい各部署の予算で決めることが多いので、部署の裁量で採用を決められます。そのため、若干スキルが要望に満たなくてもやる気があってポテンシャルがある方を採用する企業もありました。
2009年はスタッフに対してトレーニングの機会をあたえる企業が多かったと思います。派遣の場合でも、ポテンシャルのある方を採用して、市場の動きが鈍い間にしっかりとトレーニングして、回復したときのために準備する、という動きがありました。

ですので、キャリアアップの手段として、派遣社員という選択肢を考えてもいいのだと思います。正社員ではチャレンジできない職種であっても、派遣社員ならば可能ということもあります。派遣社員として働きながらスキルを磨き、正社員へのパスを見つけるという方法もあります。

正社員の採用をストップしていた企業が採用を再開する際、まったく新しい人を採用するよりは、すでに派遣社員として勤務して会社の業務を知っている人を正社員に登用した方が、企業側の負担も軽くなりますし。
実際当社からの派遣社員として勤務していた方が、正社員として登用された例もありました。

− 英語の能力はやはり重要視されるのでしょうか。

片岡氏:英語が使えるにこしたことは無いです。日本人で英語が話せる方に対する需要は高いですね。日本人の場合、英語の読み書きが出来ても、話すことに抵抗がある方が多いように見受けられます。シャイな方が多いのかもしれません。実際話してみると、話が通じたり、コミュニケーションがとれたりする場合も多くあるので、英語を活用したいのならば、やはり常に英語に触れて使っていく必要があると思います。そうしないと言語能力は伸びないですから。

取材を終えて-

今回ご紹介した給与調査の結果を皆さんの給与と比較した結果はいかがでしたか?
英語が使えるとやはり年収や時給は高くなるのですね。今からバイリンガルになるのはとても難しいですが、せめてもう少し英語を使いこなせるように努力しなければ、と改めて感じました。

派遣に対して私たちはネガティブなイメージを抱きがちです。しかし自分の中にはっきりとした目標や目的があれば、キャリアアップの手段として派遣を選択する方法もあるというお話は、とても興味深いものがありました。 興味のある仕事や企業を目指しても、正社員では競争率も高く、ハードルを越えられない場合があります。そんなときに派遣という別の道を選択することで、ハードルを越えられることがあるのですね。

「人材紹介会社に聞く」の取材を通じて、転職はタイミングと自分の市場価値の把握が重要だということを実感しました。景気の動向や自分が興味のある業界のトレンドに常にアンテナを張り、5年後の自分はどうなっていたいといった具体的な目標を定めることで、より確実なキャリアアップがはかれるのではないでしょうか。

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