CBT移行 導入事例
年間80万件を超える大規模試験の段階的なCBT移行事例
専用システムの導入と数年間に渡るPBTの運営を経てCBTへの円滑な移行と安定した試験運営を実現
背景
某試験主催者団体様(以下、試験主催者団体様)では、業務にあたって取得が必須となっている資格の試験運営を、紙による試験(以下、PBT)で実施していました。
年間試験数が80万件を超える大規模試験のため、試験会場の設営、試験問題の運搬、試験監督員の手配、当日の試験会場運営および解答用紙の回収・採点など、PBTの運営に関する業務は多岐に渡りました。
また、受験者の申込手続、試験案内、合否通知等を取りまとめる各企業担当者の業務負荷は課題となっていました。
戦略
プロメトリックは豊富な業界専門試験の運営事績を基に、現状の分析と最適なソリューションについて試験主催者団体様と検討を重ねました。
その結果、プロメトリックのCBTによる試験運営サービスであれば多くの課題が解決できるものの、移行にあたっては長期的な計画が必要であることを確認しました。
試験主催者団体様に加盟する会員企業には、数千人の従業員を有する企業も多数あるため、制度変更に伴う業務の停滞は許容されません。試験の品質を維持したまま、移行に伴う業務への影響を可能な限り軽減させ、円滑なCBTへの移行を実現するには、プロメトリックが本試験に関する知識と経験を積み重ねることが重要だと判断しました。そこで、PBTによる試験実施は変更せず、課題となっている運営業務の負荷軽減を目的としたシステムの導入を優先することにしました。
そして、システムによって効率化されたPBTによる試験運営の実現後、これをCBTへ移行するための土台とし、さらなる利便性の向上、業務の効率化、試験品質の維持・向上を目的としてCBTの導入を図ることにしました。
戦略1:専用システム導入とPBTの運営サポート
ソリューション
プロメトリックは試験主催者団体様と共に詳細な業務分析を行い、試験の申込、受験票の発行、合否発表および資格付与までの一連のプロセスをオンラインで処理する本試験専用のシステムを新たに構築しました。これは将来的なCBTへの移行を視野に入れたグランドデザインに基づくものでした。
また、システム導入に伴う試験運営への影響を最小限に抑えるため、PBTの試験会場をサポートするヘルプデスクと、会員企業担当者および受験者をサポートするコンタクトセンターについては、経験豊富なスタッフをコアメンバーとした本試験専用のチームを新たに編成しました。
成果
これまで紙ベースで運用されていた試験申込から合否発表までの業務がオンライン化されたため、各会員企業担当者が受験者情報を一元的に管理することが可能となりました。また、受験から合否発表までの日数が短縮されたため、トレーニングから受験を経て資格付与に至る人材育成の効率化にも貢献しました。
各会員企業を取りまとめる試験主催者団体様においても、専用システムおよび専用サポート窓口の導入により、業務負荷の軽減と、安定した試験運営を実現しました。
この後プロメトリックはPBTの運営業務を通じて、課題の分析や改善提案を継続的に実施し、本試験に関する理解を深めていきました。
戦略2:CBTへの移行
ソリューション
専用システムの導入後、プロメトリックは試験主催者団体様とCBTへの移行について検討を重ねました。
既にPBTによる円滑な試験運営は実現していたため、CBTへの移行には全ての関係者が納得できる新しい価値を提案する必要がありました。
大規模な団体受験や、細分化された試験種別への対応、更新試験の導入、大都市以外の地域における受験需要など、現在のPBTにおける課題を解決することはもちろん、試験主催者団体様が保有する管理システムとの連携を実現させるソリューションの提供も不可欠でした。
また本試験のような業務必須資格を付与するための試験には、試験の公平性と厳格な試験実施環境、そして試験の品質に関する社会的な説明責任が果たせることも重要だと考えました。
その回答としてプロメトリックは次の提案を行いました。
システム連携 | 試験主催者団体様が保有する管理システムと、当社試験配信システムの連携対応 |
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利便性の向上 | 全ての都道府県におけるCBTによる随時開催(全試験対象) 人口の少ない地域における試験実施 試験結果通知に要する日数のさらなる短縮 数千名規模の団体予約への対応 |
業務負担およびコストの軽減 | 災害時における柔軟な振替対応 |
試験品質の維持・向上 | 厳格な本人確認や監視カメラ等による不正行為の防止 |
トレーニング | 移行に伴う各種マニュアルおよびチュートリアルの提供 |
成果
長期的な計画に基づいた本試験のCBTへの移行は、PBT専用システムの導入から4年を経て無事に完了しました。
試験主催者団体様が保有する管理システムとの連携により、数千名規模の団体申込にも対応しました。
プロメトリックの試験会場ネットワークを活用したCBTによる随時開催は、十分な受験機会と迅速な試験結果通知を提供し、各会員企業における人材育成のさらなる効率化にも寄与しました。また、厳格な本人確認と不正監視システムによって運用される試験実施環境により、品質を維持した試験実施を可能としました。
専用のコンタクトセンターが受験者のサポートだけではなく、有資格者からの資格制度に関する問い合わせや、試験主催者団体様の管理システムに関する問い合わせにも一括して対応することで、試験主催者団体様が基幹業務に注力できる環境を実現しました。
このように試験主催者団体様や会員企業および受験者のニーズを満たすプロメトリックの最適なソリューションは、試験制度の円滑な移行、利便性の向上、試験運営業務の負荷軽減とコストの削減、そして安定した収益を確保できる運営体制を実現しました。
本試験はCBTへの移行後も、8年以上に渡って年間約80万件を安定して配信しています。特に需要の高まった年は配信数が約120万件に達しましたが、プロメトリックの会場担当部門による正確な需要予測と試験会場管理によって、需要を満たす十分な座席数を提供しています。
これはプロメトリックが豊富な経験と人材を有する試験運営のプロフェッショナルであることを証明するものです。
今回の事例での提供サービスのご紹介
PBT
- 専用システムの構築
- 専用サポート窓口の設置(ヘルプデスク/コンタクトセンター)
- 提供年数:約4年(提供終了)
CBT
- 主催団体が保有する管理システムとの連携
- 全都道府県に設置した試験会場における試験実施
- 人口の少ない地域における試験実施
- 数千名規模の団体予約受付
- 提供年数:8年以上(提供中)
- 年間配信数:約80万件
- 年間最大配信数:約120万件