スキルアップコラム:いよいよ開始! PHPの専門知識を問う技術者認定試験

動的Webページ作成に効果を発揮するPHPは、近年さまざまなサイトで利用が進んでいます。
利用するサイトが増加すれば、PHPを使いこなせる技術者の需要が高まるのは必然的なことです。そのような状況の中、技術者の知識を正しく計るための試験「PHP技術者認定試験」が2011年5月から始まりました。今回は試験の概要のほか、学習方法や今後の展開を紹介します。

お話をうかがったのは、特定非営利活動任意団体PHP技術者認定機構(以下 PHP技術者認定機構)  顧問 大垣 靖男氏と理事長 吉政 忠志氏、副理事長 桑村 潤氏です。

2011年5月18日掲載

PHP ユーザが多い理由

− PHPは近年さまざまなサイトで利用が進んでいるという話を聞きますが、
  具体的にどの程度利用が進んでいるのでしょうか。

PHP技術者認定機構 顧問
大垣 靖男 氏

大垣:具体的な数字を出すのはなかなか難しいのですが、2010年のPHPカンファレンスでPHPの創始者である ラスマス・ラードフ(Rasmus Lerdorf)氏は、「世界中のWebアプリケーション開発のうち、3,4割のページでPHPが使われている」と話していました。

吉政:技術者の人数という観点で見てみましょう。2010年5月に経済産業省が発表した「特定サービス産業動態統計調査」によると、日本国内の情報処理サービス技術者総数は101.2万人となっています。これにはPHPだけではなく、すべての情報処理サービス技術者が含まれています。

また、2010年10月に@IT自分戦略研究所が行った調査結果では、PHP技術取得者率は13.9%、PHP技術取得希望者率は17.5%となっています。これらの数字から推定すると、最大でPHP技術者総数は約13万人、PHP技術取得希望者数は約17.7万人となります。

PHP技術取得希望者数を含めると、約30万人の規模になるのですね。
  PHPユーザと潜在的ユーザが、これほど多い理由はどこにあると考えていますか。

大垣:一言で言うと、「簡単で使いやすい」からでしょう。PHPではC言語やJava、Perlと文法で共通する部分が多く、改めてはじめから覚える必要が無いので、他の言語を使用していた技術者にとっても、使いやすくなっています。

桑村:PHPはWebアプリケーション開発のために作られた言語です。プログラミング言語のアルゴリズムを知らなくても始められる敷居の低さが魅力です。一方、ビジネスで通用するような高い技術力を持った人が少ないと感じています。PHPを知っている、少し使ったことがあるという技術者は多いと思うのですが、PHPを使って正しいソースコードが書ける技術者はそれほど多くないのではないでしょうか。

日本独自の試験制度 - PHP技術者認定試験

−PHP技術者認定試験制度設立の目的は何だったのでしょうか。

PHP技術者認定機構 理事長
吉政 忠志 氏

吉政PHP技術者の知識レベルを判断するための基準を設けることにより、PHP認定者の雇用機会や認定者が所属する会社のビジネスチャンス拡大を図ることを目的にしています。本制度は、ある特定の製品やフレームワークに特化するものではなく、一般的なPHPプログラミングの知識を問う内容になっています。

大垣:本制度設立にあたっては、ラードフ氏に確認し、許可をとっています。本制度は日本のビジネスを意識した作りになっており、日本語処理を試験範囲に盛り込んでいます。また、実際の業務で間違いやすい箇所を試験問題に盛り込むなど、実務に則した試験問題作りを心がけています。

−PHP技術者認定試験の試験カテゴリ、今後の展開を教えてください。

桑村PHP技術者認定試験制度には、初級試験、上級試験、認定ウィザードの3つのカテゴリがあります。2011年5月10日(火)に配信開始した初級試験は、PHPプログラミングの基本知識を問う内容になっています。そのため、学生や社会人1,2年目の人だけではなく、Webページ作成にPHPを使い始めたWebデザイナーの方々にとっても有益な試験といえるのではないでしょうか。

図:PHP技術者認定試験制度の試験カテゴリ

試験カテゴリ 概要 出題範囲 対象者 開始時期
PHP5技術者認定初級試験 PHPプログラミングの
基本知識を問う試験
・『初めてのPHP5』が主教材
・一般的な知識やPHPオンラインマニュアルなどからも出題
・学生
・社会人1,2年目の方々
2011年
5月10日(火)
PHP5技術者認定上級試験 PHPの言語仕様から
実用的なプログラミング
テクニックまでの
知識を問う試験
・『プログラミングPHP 第2版』が主教材
・一般的な知識やPHPオンラインマニュアルなどからも出題 (予定)
・社会人3年目以降の方々 2011年
9月 (予定)
PHP技術者認定ウィザード
・PHP5技術者認定
 セキュリティ・ウィザード
・PHP5技術者認定
 パフォーマンス・ウィザード
・PHP5技術者認定
 フレームワーク・ウィザード
・PHP5技術者認定
 インターナル・ウィザード
専門分野に精通し、
モジュールを作れる
またはカスタマイズできる人材を認定する資格
2012年春
公開予定

・PHP技術者認定上級試験合格者
※申込カテゴリに関連したフリートピックの論文(1500文字以上)を申込時に提出

2012年春
公開予定

吉政初級試験は既に配信開始していますが、2011年9月には上級試験の配信を予定しています。PHP技術者認定ウィザードの開始時期は未定ですが、2012年の春には出題範囲を公開したいと考えています。PHPベースのアプリケーション開発の知識を問う試験を実施して欲しい、というご要望もあるので、今後は各Webアプリケーション開発に特化した試験への展開も考えられます。

−2010年10月に実施した@IT自分戦略研究所の調査で、「今後取得を目指す資格/ベンダーニュートラル資格」にPHP技術者認定がランクインしていました。実施前の試験にもかかわらず人気/期待が高い理由はどこにあると考えますか。

大垣: PHPの知識を問う、ベンダーニュートラルな試験が今まで無かったことが最大の理由でしょう。また、本試験は講師の立場からすると、資格取得を受講生の目標にして学習効果を高めることができる、さらに受講生の習得レベルを正しく測れることが、期待に繋がったと思います。

今までは第三者が作成したベンダーニュートラルな試験が無かったため、学校ごとに独自で試験問題を作成しているところもありました。独自で試験問題を準備するのは大変なので、PHPをトレーニングに取り入れることが難しいと感じている学校もあったと聞いています。

吉政みなさまからの期待が大きいことを光栄に思う反面、期待にこたえられる試験制度を提供していく重要性を感じています。

−PHP技術者認定試験に合格するための効果的な学習方法はありますか。

吉政独学で学習する際は、出題範囲に記載されている主教材とPHPオンラインマニュアルで勉強するとよいでしょう。また2011年6月には、試験合格のための対策本を出版する予定なので、それを併用して勉強するのがベストです。

認定スクールではオライリー・ジャパンが出版している主教材を利用した資格取得対策のほか、認定スクール独自の教材を用意して実技トレーニングも行っています。2011年4月現在、認定スクールは4校ですが、今後はもっと数を増やしていく予定です。これまで、プログラミング言語を基礎から体系的に勉強したことが無い方は、この機会に認定スクールを利用してみてはいかがでしょうか? また、日々の業務が忙しく、まとまった時間を取るのが難しい方は、認定スクールへの通学は時間的に難しいでしょう。その場合は通勤時間などに主教材で勉強することになると思います。一方で、集中的に勉強したほうが効果的に勉強できるという方は、認定スクールでの受講が効果的でしょう。
受験者一人ひとりの時間の使い方や学習方法の好みに応じて、最適な学習方法を選択していただければと思います。

−今後PHP技術者の活躍の場は、どのように広がると思いますか。

PHP技術者認定機構 副理事長
桑村 潤 氏

桑村:先ほども述べたとおり、PHPはWebアプリケーション開発のために作られた言語なので、現状は動的Webページ作成に使用されているケースが最も多いでしょう。最近では、さまざまな業務アプリケーションのWeb化が進んでいますから、業務アプリケーション開発にPHPが使われるようになると、PHPの使用頻度やPHP技術者の必要性は高くなっていくことが予想されます。

最近注目され続けているクラウドですが、クラウドでアプリケーションを起動させるためのPHPは、残念ながら使いやすいものがまだ出てきていません。
10年ほど前にPHPが爆発的に使われ始めるようになったきっかけは、使いやすいフレームワークが公開されたことでした。PHPはオープンソースなので、世界中の技術者によって日々改善が行われています。10年前と同様に、今後の改善によってクラウドでの利用が進めば、PHPの可能性はさらに広がっていくのではないでしょうか。

業界に貢献する人材に

− 最後に、PHP技術者認定試験合格を目指す方へのメッセージ、アドバイスをお願いします。

吉政:PHPは今後も需要が見込まれる言語です。まずは初級、そして上級、ウィザードの各試験に挑戦し、PHPを極めてください。単純にPHPを使いこなすだけではなく、他の技術者やWeb・IT業界全体に貢献する人材になっていただければと思っています。

桑村:本試験制度を活かすことで、技術者のみなさん一人ひとりが持つ目標に、一歩ずつ近づけることを願っています。PHPを使用して動的ページを作成するには、データベースの知識が必要になってきます。特定のデータベースに特化するのではなく、RDB(リレーショナルデータベース)全般の仕組みについてもあわせて知っておくことをお勧めします。PHPだけではなく、データベースの知識も持っていることで、技術者としての価値も上がっていくのではないでしょうか。

大垣:PHP技術者としての能力を身に付けていることの証明や実務で身につけた知識を再確認するために、本制度は有効だと思います。一方で、試験はWeb・IT業界に入るためのひとつのステップでしかありません。試験合格をゴールと思わず、合格後も引き続き新しい知識の習得を心がけ、Webアプリケーション開発に貢献していただければと思います。

(文中敬称略)

取材を終えて-

今回の取材は東京で行ったため、岡山在住の大垣氏は電話での参加となりました。大垣氏と桑村氏はPHPに関する著書が多数あり、PHPが世界中のWebページで利用されている理由やPHP技術者認定試験が注目される理由について、簡潔にわかりやすく説明していただきました。

 

簡単で使いやすいPHPは、桑村氏の言葉を借りれば「敷居の低い言語」なのでしょう。そのため、今まで別の言語を扱っていた技術者やWebページのデザインを行っていたWebデザイナーからすると、取り組みやすい言語と感じるのかもしれません。その一方で、桑村氏が述べたようにPHPを使った正しいソースコードが書ける技術者は少ないのが現状のようです。

 

PHP技術者認定試験を活用することで、技術者一人ひとりの知識レベルを第三者が客観的に判断できるようになります。自分の知識を確認するため、就職先に自分の知識を証明するため、そういった理由でPHP技術者認定試験を活用してみてはいかがでしょうか。

 

プロメトリック株式会社
鹿倉 一葉

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