一般社団法人 日本心理学諸学会連合 導入事例
すべての会場において同一条件で受検できる環境にこだわり、プロメトリックを選定。
CBT導入により試験会場確保の課題が解消し、試験回数の増加も実現。
サービス導入団体 | 一般社団法人 日本心理学諸学会連合 心理学検定局 |
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CBT導入試験 | 心理学検定(https://jupaken.jp/) |
試験規模 | 年2回実施(春試験、夏試験) 年間配信数 5,500前後 |
導入前の課題 | CBT試験導入以前は、全国十数か所の大学を会場とする紙試験を実施していたが、会場として使用できる時期が限られ、会場の確保に苦労した。 大学院入学者選考に活用できるよう年2回の実施を何度か検討してきたが、会場確保の見通しが立たなかった。 |
コロナ禍で会場での試験が中止になり、感染症や自然災害の際も振替実施が可能なCBT導入を決断
一般社団法人日本心理学諸学会連合は、心理学及びその関連分野の調和ある発展と心理学の社会的貢献をめざすことを目的として1999年に結成され、2024年3月現在で56の心理学関連学術団体が加盟しています。
実施団体の心理学検定局は、2008年から心理学検定の試験を開始し、2019年までは毎年1回、8月に実施していました。しかし、2020年は新型コロナウイルスの大流行のため、中止を余儀なくされました。当時はコロナ禍がいつ収まるか不透明で、2年連続の中止は避けたいと考えCBT導入の検討を始めました。
受検者にとってのCBT試験のメリットとして、全都道府県の会場から希望する受検日を選べることや、何らかの理由で受検できなかった場合でも振替措置が受けられることなどがあり、感染症や自然災害などの場合にも影響を最小限にできる点が挙げられます。
また運営側にとっても、試験会場と試験監督者等の確保が不要になったこと、試験の問題冊子と解答用紙の印刷が不要になったこと、本人確認と受検時の不正防止がより厳密に行えるようになるなどのメリットがあります。そういった点を踏まえ、2021年からCBTを導入しました。
それ以前もCBTという試験方式があることは知っていたのですが、大学を借りて試験を実施し、特に問題なく運用できていたため、具体的に検討することはありませんでした。しかし、年に2回の試験実施を何度か検討したことがあったのですが、会場確保の見通しが立たず実現しませんでした。この機会にCBTを導入すれば会場確保の課題が解消されるのではないかと考えたことも、導入の後押しになりました。
すべての試験会場で同じ条件で受検できることが、プロメトリック選定の決め手。
CBT導入にあたり、複数のCBT代行会社に問い合わせをして、見積もりも取りました。価格ももちろん大切ですが、一番重視したポイントは「受検者が同じ条件で検定を受けられること」です。
その点で、プロメトリックはどの試験会場でも同じスペックのコンピューターと大型モニターが用意されていました。試験会場も全都道府県に設置されていたので、受検者が居住地によって移動が大変になることが少なく、公平な試験を実施できることが選定の決め手となりました。問題をランダムに出題できることも魅力でした。
本人確認などの不正対策ももちろん重要視しましたが、プロメトリックのCBTは国家試験にも採用されていたので安心感がありました。担当者の方が導入の相談に対して真摯に対応してくださったことも、お願いした理由のひとつです。
CBT導入により、 念願だった年2回の試験実施を実現。
CBTを導入して会場確保に問題がなくなったことにより、2023年から夏の試験に加えて春も実施できるようになりました。大学院によっては心理学検定級保持者への大学院受験の際の優遇措置があるのですが、多くの大学院の入試は9月に行われます。出願はその前なので、従来の夏試験ではせっかく合格しても入試に間に合わないことが多かったのです。それが春にも受検機会を設けられようになったことで、大学院受験にも活用していただきやすくなりました。
心理学検定はA領域5科目とB領域5科目があり、2級は3科目(A領域2科目含む)、1級は6科目(A領域4科目含む)、特1級は10科目すべてに合格すると認定されます。合格科目は5年間有効なので、1回の受検で希望する級の合格基準に達しなくても次のチャンスがありますし、複数回受検をして2級→1級→特1級と段階的に挑戦することもできます。
心理学検定の試験科目
A領域 | B領域 |
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原理・研究法・歴史 | 神経・生理 |
学習・認知・知覚 | 統計・測定・評価 |
発達・教育 | 産業・組織 |
社会・感情・性格 | 健康・福祉 |
臨床・障害 | 犯罪・非行 |
各級の認定条件
特1級 | 1級 | 2級 |
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A領域の5科目、B領域の5科目の 10科目すべてに合格 |
A領域の4科目を含む 合計6科目に合格 |
A領域の2科目を含む 合計3科目に合格 |
紙の試験だった頃、試験日は1日だけで、受検者が体調を崩すと年1回のチャンスを潰してしまい、翌年までモチベーションを保てないとの声を聞いたこともありますが、CBT導入により試験期間を約40日間取っているので、体調を崩しても自分自身で受検日の振替ができるようになりました。試験機会も年2回になったことで、チャンスが増えて受検しやすくなっています。
試験運営側としては、試験会場の確保とともに試験監督者などのスタッフの確保が不要になって助かっています。紙試験のときは会場として借りている大学の先生の人脈に頼って、学生などをスタッフとして集めていただいていたのですが、その必要がなくなりました。また、試験問題や解答用紙の印刷や運搬が不要になったことで運搬中の事故や紛失の心配もなくなりましたし、試験専用の会場となったことで、パーテーションで区切られた座席や監視カメラによる死角のない監視が可能となり不正をより防止することができるようにもなりました。そういった点で安心して試験を実施できるようになったことも、CBTを導入して良かったと感じるメリットです。
年齢や経歴に関わらず、心理学を学びたい人に検定を利用してほしい。
心理学検定は年齢や経歴にこだわらず受検できるので、より広い層に利用してほしいです。例えば、高校生はこれまで倫理科目でごく一部を学ぶだけでしたが、2022年の高等学校学習指導要領の改訂に伴って、1、2年生が学ぶ新設必履修科目「公共」と、2、3年生が学ぶ選択科目「倫理」で心理学の内容が扱われるようになりました。ここで興味を持った高校生たちがより深く学ぶ機会を、心理学検定を通して提供していきたいと考えています。
大学で心理学を専門で学んでいない方も、心理学に興味があれば心理学検定の勉強を通して体系的に学ぶことができます。日心連では心理学検定の公式問題集を編集しているのでぜひ利用してほしいですし、心理学検定のウェブサイトでは推薦書籍も紹介しています。
今後の課題は、障害を持つ受検者への充実した受検機会の提供
今回の取材にご協力いただいたお客様
一般社団法人 日本心理学諸学会連合
心理学検定局長 子安 増生 様
事務長 伊藤 一真 様